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環状ガイドRNAを用いた内因性ADARの動員によるin vitroおよびin vivo の効率的なRNA編集

Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-021-01171-4

外来のガイドRNAを用いて内因性アデノンシンデアミナーゼを動員する細胞RNAの編集は有望な治療戦略であるが、現在のガイドRNA設計では編集効率および持続性が依然として低い。本研究では、ADARを動員する環状のガイドRNA(cadRNA)を作製し、外来タンパク質の同時送達を全く必要としないアデノシンからイノシンへのプログラム可能な高効率のRNA編集を可能にした。そのcadRNAを用いると、RNAの非翻訳領域とコード領域の両方で、複数の部位および細胞株にわたって確実で持続的なRNA編集が観察され、全トランスクリプトーム的な高い特異性が認められた。さらに、散在的なループをアンチセンスドメインに組み込むことによって標的アデノシンに関する転写物レベルの特異性が高まり、バイスタンダー編集が減少した。アデノ随伴ウイルスによってcadRNAをin vivo送達すると、C57BL/6Jマウス肝のmPCSK9転写物は53%でRNA編集が行われ、ムコ多糖症I型ハーラー症候群のIDUA-W392Xマウスモデルのアンバーナンセンス変異は12%でUAGからUGGへのRNA修正が行われた。cadRNAは、効率的でプログラム可能なin vivo RNA編集を可能にするものであり、タンパク質調節および遺伝子治療に多様な用途がある。

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