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ADARを動員する環状の改変RNAがin vitroおよびin vivoでRNA編集の効率および忠実度を高める

Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-021-01180-3

内因性のADAR酵素およびADARを動員する改変RNA(arRNA)を使用してプログラムRNA編集を行う現在の方法は、効率の低さおよびオフターゲットのバイスタンダー編集が課題となっている。本論文では、共有結合的に閉環しcirc-arRNAと命名した環状のarRNAを使用する改良版LEAPER、「LEAPER 2.0」を紹介する。細胞内で発現させた場合、または in vitroで転写させた環状RNAオリゴヌクレオチドとして送達した場合の編集効率は、平均で直鎖状arRNAの約3.1倍となることが示された。オフターゲット編集を抑制するためにウリジンとオフターゲットのアデノシンとの対形成を排除したところ、オフターゲットのバイスタンダーアデノシン編集はほぼ完全に消失した。改変されたcirc-arRNAは、培養細胞中で内因性CTNNB1および変異型TP53転写物の編集の効率および忠実度を高めた。ハーラー症候群のマウスモデルでアデノ随伴ウイルスを用いてcirc-arRNAを送達すると、病原性の点変異が修正されてα-L-イズロニダーゼの触媒活性が回復し、肝臓中のグリコサミノグリカンの蓄積が抑制された。LEAPER 2.0は、精度および効率に優れ治療および基礎研究に広く応用可能なRNA編集を可能とするarRNAの新たなデザインとなる。

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