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ディープラーニングによるヒト腸内マイクロバイオームからの抗菌ペプチドの発見

Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-022-01226-0

ヒト腸内マイクロバイオームは極めて多様な抗菌ペプチド(AMP)をコードしているが、AMPは短いためコンピューターによる予測が容易でない。今回我々は、LSTM、Attention、およびBERTを含む複数の自然言語処理ニューラルネットワークモデルを組み合わせて、ヒト腸内マイクロバイオームデータからAMPの候補を見いだすための統合的パイプラインを構築した。AMPの候補として見いだされた配列2349本のうち216本が化学合成され、181本に抗菌活性が認められた(陽性率は83%超)。そのペプチドの大多数はトレーニングセットのAMPとの配列相同性が40%に満たなかった。効力の高い11本についてさらに調べたところ、抗生物質耐性のグラム陰性病原菌に対する高い有効性が認められ、細菌性肺感染症のマウスモデルで細菌量を10分の1未満に減少させて有意な有効性が示された。今回の研究結果から、機械学習による方法には、メタゲノムデータから機能性ペプチドを見いだし、詳細な研究に供する有望なAMP候補分子の発見を促進する可能性があることが示された。

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