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導入遺伝子の発現を非侵襲的に画像化するためにコンピューターで設計した2色MRIレポーター
Nature Biotechnology 40, 7 doi: 10.1038/s41587-021-01162-5
生きている動物は組織が可視光を通さないため、遺伝子発現パターンを蛍光タンパク質で画像化することが困難である。深部組織まで届く磁気共鳴画像法(MRI)による導入遺伝子発現の画像化は、単一のレポーターの可視化能力によって制限されてきた。さらに、MRIの処理能力の低さにより、既存のレポーターを用いる大規模な変異導入法にも限界がある。本研究では、深部組織での導入遺伝子発現の2色イメージングを行うため、直交レポーターを用いるGeneREFORMというMRIシステムを開発した。2種類の広基質特異性デオキシリボヌクレオシドキナーゼから出発し、MRIで検出可能な2種類の合成デオキシリボヌクレオシド(「レポータープローブ」)を特異的にリン酸化する高活性直交型酵素(「レポーター遺伝子」)をコンピューターで設計した。全身投与したレポータープローブは、設計したレポーター遺伝子を発現している細胞にのみ蓄積し、その分布は、導入遺伝子発現を非侵襲的に可視化する動的プロトン交換に基づく偽色MRIマップとして表示された。今後のGeneREFORMの拡張は、生きている動物での遺伝子発現の多重深部組織マッピングに道を開くと考えられる。