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凍結脳組織のバーコード化されたエキソンの結合性を明らかにするSnISOr-Seq
Nature Biotechnology 40, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01231-3
単一核RNA塩基配列解読法は細胞型を遺伝子レベルで明らかにする。しかし、単一細胞での方法と比較すると、単一核cDNAはイントロンばかりのものやバーコードが存在しないものが多く、アイソフォーム研究の妨げとなっている。本論文ではSnISOr-Seq(single-nuclei isoform RNA sequencing;単一核アイソフォームRNA塩基配列解読法)を紹介する。マイクロ流体工学、PCRに基づくアーティファクトの除去、標的の濃縮、およびロングリード塩基配列解読を用いたところ、SnISOr-Seqでは単純なロングリード単一核塩基配列解読法と比較してエキソンを含むバーコード化されたロングリードが7.5倍に増加した。SnISOr-Seqを成人の前頭皮質に用いると、自閉症関連のエキソンには調整された極めて細胞型特異的な組み込み(インクルージョン)が認められることが明らかになった。我々は2種類の組み合わせパターンを見いだした。それは、TSS-エキソン、エキソン-ポリアデニル化部位、および非隣接エキソンのペアに富み神経細胞の種類を区別するパターンと、隣接エキソンのペアに富み1つの細胞型の中で複数の構造を有するパターンである。最後に、ヒト特異的エキソンは、保存エキソンとほぼ同程度に厳密に調整されていることが観察された。これは、調整が進化の中で急速に確立され得ることを意味している。SnISOr-Seqは、ヒト脳および任意の凍結試料または分離が難しい試料での細胞型特異的なロングリードアイソフォーム解析を可能にした。