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極めて光安定性が高く明るい緑色蛍光タンパク質

Nature Biotechnology 40, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01278-2

蛍光タンパク質は、光安定性の低さが蛍光顕微鏡観察への応用を制限する要因となることが多い。本論文では、タマクラゲ(Cytaeis uchidae)の緑色蛍光タンパク質(GFP)から開発したStayGoldを紹介する。StayGoldは、現在利用可能ないずれの蛍光タンパク質よりも1桁以上光安定性が高く、mNeon-Greenと同程度の実用的明るさを示す。構造化照明顕微鏡法(SIM)による観察でStayGoldを用いると、小胞体(ER)の動態を高い時空間分解能で数分間にわたってイメージングすることができた。小胞体標識用に安定性が最適化されたオワンクラゲ由来のGFPバリアントと比べて褪色が大幅に改善されていることが確認された。また、StayGoldyとSIMを用いることにより、ミトコンドリアの融合と分裂の動態をライブイメージングし、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2感染細胞の固定試料でウイルススパイクタンパク質を詳細にマッピングした。StayGoldは二量体であるため(このままでは2価のタグとして働くという問題がある)、StayGoldを2つ連結(して単価のタグを作製)したところ、微小管結合因子の動態およびニューロンの興奮性シナプス後肥厚を観察することができた。StayGoldは、特に生細胞の(繰り返し照明を伴う経時的な)観察や、(z軸方向スキャンによる)三次元観察において、褪色による制約を大幅に緩和することができる。

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