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単一細胞のアイデンティティーと不均一性を明らかにするDeep Visual Proteomics

Nature Biotechnology 40, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01302-5

空間プロテオミクスには画像化法と質量分析法を利用することができるが、画像を単一細胞分解能のタンパク質存在量の測定結果と結び付けることが今なお大きな課題となっている。本論文で紹介するDeep Visual Proteomics(DVP)は、人工知能による細胞表現型の画像解析と単一細胞または単一核の自動レーザーマイクロダイセクションおよび超高感度質量分析法とを組み合わせるものである。DVPは、空間的状況を保持しながらタンパク質存在量を複雑な細胞または細胞内の表現型と結び付ける。我々は、培養細胞から核を個別に切り出すことにより、既知および未評価のタンパク質で規定されるプロテオームプロファイルを有する個別の細胞状態の分類を行った。原発悪性黒色腫組織のアーカイブにおいて、DVPは正常なメラノサイトが完全な浸潤悪性黒色種へ移行するなかでプロテオームの空間分解変化を見いだし、インターフェロンシグナル伝達および抗原提示の抑制と同時に生じる転移の垂直増殖でのmRNAスプライシングの調節異常など、がんの進行とともに空間的に変化する経路を明らかにした。組織環境内の正確な空間的プロテオーム情報を保持するDVPの能力は、臨床検体の分子プロファイル解析に重要な意味を持つ。

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