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ミトコンドリアDNAと核DNAで高い活性と広い標的範囲を示すCRISPRフリーの塩基エディター

Nature Biotechnology 40, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01256-8

全タンパク質シトシン塩基エディターであるDdCBEは、TALEタンパク質および二本鎖DNA特異的シチジンデアミナーゼ(DddA)を用いてC•GからT•Aへの選択的な編集を成立させる。編集効率を改善するとともにDddAの厳密なTC配列環境の制約を克服するため、ファージ補助型の非連続的進化および連続的進化を利用して、活性が高く標的範囲が広いDddAバリアントを進化させた。標準的なDdCBEと比較して、進化させたDddA6を用いた塩基エディターは、ミトコンドリアDNA(mtDNA)のTCでの編集効率に平均3.3倍の改善がみられた。進化させたDddA11を含むDdCBEは、拡張されたHC(H = A、C、または T)配列適合性をミトコンドリアと核の両方の塩基編集で実現し、AC標的およびCC標的での平均編集効率を標準的DdCBEの10%未満から15~30%に改善して、DdCBEの2つの断片を両方とも発現しているものを選別した細胞集団では最高50%の改善がみられた。これらの進化させたDdCBEを用いることにより、疾病関連のmtDNA変異がヒト細胞の非TC標的部位に効率的に導入された。DddA6およびDddA11は、全タンパク質塩基編集の有効性および応用可能性を大幅に向上させた。

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