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空間トランスクリプトミクスデータ中の細胞型の連続体を明らかにするDestVI
Nature Biotechnology 40, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01272-8
大多数の空間トランスクリプトミクス技術はスポットサイズが単一細胞のサイズを超え、解像度の制約を受けている。この問題は単一細胞RNA塩基配列解読と合わせて解析することによって軽減可能であるが、既存の方法は個別の細胞型を評価し、各スポット内の細胞型の比率を明らかにすることまでしかできない。本研究では、同じ細胞型のトランスクリプトームの連続的な変動を明らかにするため、DestVI(Deconvolution of Spatial Transcriptomics profiles using Variational Inference)を開発した。シミュレーションを利用することにより、DestVIは、各スポット内の全細胞型の遺伝子発現を評価する方法として、既存のものよりも優れていることが実証された。感染リンパ節およびマウス腫瘍モデルの研究に応用したところ、DestVIはそうした組織の細胞の構成に関する高分解能で正確な空間的特性評価を行い、異なる組織領域間や状態間の遺伝子発現の細胞型特異的な変化を明らかにした。DestVIは、オープンソースのソフトウエアパッケージであるscvi-toolsの要素として入手可能である(https://scvi-tools.org)。