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進行した円錐角膜の2つの臨床コホートでの生体工学的に作製された角膜組織による低侵襲の視力回復

Nature Biotechnology 41, 1 doi: 10.1038/s41587-022-01408-w

角膜実質疾患による視覚障害は、全世界で数百万人が罹患している。本論文では、無細胞系で作製した角膜組織であるBPCDX(bioengineered porcine construct, double crosslinked)と、それを移植する低侵襲の手術法を紹介する。インドおよびイランでの予備的な実現可能性試験(clinicaltrials.gov no. NCT04653922)で、進行した円錐角膜患者20例にBPCDXを移植し、既存の組織の除去や縫合を行うことなく本来の角膜実質を再建した。24カ月の経過観察中に有害事象は観察されなかった。角膜厚(平均してインドで209 ± 18 μm、イランで285 ± 99 μmの増加)、最大角膜曲率(平均してインドで13.9 ± 7.9 D、イランで11.2 ± 8.9 Dの低下)、および視力(コンタクトレンズ矯正視力がインドで平均20/26へ、眼鏡矯正視力がイランで平均20/58へ)の改善が示された。当初は失明状態であった被験者14例中14例で、最高矯正視力(眼鏡またはコンタクトレンズ)の最終的な平均値が20/36となり、コンタクトレンズを再び装着できるようになった。本研究により、ドナー角膜の移植に匹敵する効果があって安全性および簡便性が高く、幅広く利用可能と考えられる方法を用いる視力回復法が示された。

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