DNAの遺伝塩基とエピジェネティック塩基の同時配列解読

DNAは遺伝塩基とエピジェネティック塩基に保存された分子情報を含んでおり、どちらも生物学の理解に極めて重要である。大多数のDNA塩基配列解読法は遺伝塩基かエピジェネティック塩基のいずれかを対象としているため、捉える情報が不完全である。エピジェネティックなDNA塩基の検出に広く用いられている方法では、一般的なCからTへの変異を捕捉したり、5-メチルシトシンと5-ヒドロキシメチルシトシンを識別したりすることができない。本論文では、完全な遺伝塩基とごく一般的な2種類のシトシン修飾の塩基配列を1回のワークフローで解読する、一塩基分解能の塩基配列解読法を紹介する。この方法では、DNAの複製を行い、塩基を酵素的に変換する。元のDNA鎖と複製鎖の塩基の解読を組み合わせることで、フェージングされたデジタルの読み取り情報が得られる。この方法は、ヒトゲノムDNAとがん患者の血液検体から得た無細胞DNAで実証された。この方法は正確で、必要とするDNA投入量が少なく、ワークフローと解析パイプラインが単純である。遺伝塩基とエピジェネティック塩基のフェージングされた同時読み取りは、ゲノムに保存されている情報に関して完成度の高い全体像をもたらし、生物医学の全領域で応用可能である。