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論理ゲートによるCARスイッチのためのコンビナトリアルな標的抗原の単一細胞マッピング
Nature Biotechnology 41, 11 doi: 10.1038/s41587-023-01686-y
がん細胞と周囲の正常組織細胞を識別する適切な標的抗原の発見は、内部が不均質な腫瘍のキメラ抗原受容体(CAR)細胞療法で今なお大きな課題となっている。本研究では、412の腫瘍と12の正常器官に由来する約140万個の腫瘍細胞、腫瘍が浸潤する正常細胞、および参照正常細胞をまとめた単一細胞発現アトラスを構築することにより、個々の細胞のレベルまで組織の複雑さを分解した。ランダムフォレストと畳み込みニューラルネットワークによる2段階のスクリーニング法を用いて、個々の悪性細胞と正常細胞の識別への寄与が極めて大きい遺伝子ペアを選択した。個々の単一細胞のペア遺伝子のコンビナトリアルな発現パターンに基づき、AND、OR、NOTの論理ゲートに関して腫瘍のカバー率と特異性を評価した。単一細胞トランスクリプトームと組み合わせたエピトーププロファイリングにより、卵巣がんと大腸がんで見いだされたAND、OR、NOTのスイッチの標的を検証した。