Article

CAR T細胞の薬理および反応に見られる臨床的変動のデコンボリューション

Nature Biotechnology 41, 11 doi: 10.1038/s41587-023-01687-x

キメラ抗原受容体T(CAR T)細胞の増殖と持続は患者間で大きく異なり、有効性と毒性の両方を予測する。しかし、臨床転帰と患者間のばらつきの背後にある機構はほとんど解明されていない。本研究では、記憶T細胞、エフェクターT細胞、疲弊T細胞の状態間遷移が腫瘍抗原との結合によって協調的に調節されるT細胞応答の数学的記述を開発した。異なる血液悪性腫瘍でのCAR T製品の臨床データを用いてこのモデルを訓練し、記憶T細胞の回転率とエフェクターT細胞の細胞傷害能に見られる細胞固有の差異が臨床応答の主要な決定要因であることを明らかにした。機械学習のワークフローを用いることにより、注入前のトランスクリプトームに基づいて製品に固有の差異から患者の転帰が正確に予測できること、そしてその他の薬理学的変動が細胞と患者腫瘍との相互作用から生じることを実証した。転写シグネチャーは3つの適応における2つのCD19選択的CAR T製品の臨床応答の予測性に関してT細胞の免疫表現型解析よりも優れていることが明らかになり、予測的CAR T製品開発の新局面が可能になった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度