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SCRuBによるコンタミネーション源モデル化がマイクロバイオームデータからのがん表現型予測を改善する
Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01696-w
塩基配列解読に基づく微生物群集の解析法は、コンタミネーションの影響を受けやすく、生物学的シグナルが検出されなかったりアーチファクトなシグナルが生じたりすることがある。対照を用いたコンピューター解析によるコンタミネーション除去法が一般的に用いられているが、試料間に共通する情報を最大限に使用してはおらず、部分的にコンタミネーションから生じているにすぎない分類群や対照への生物材料の漏出を扱うことができない。本論文では、複数の試料と対照に共通する情報を合わせてコンタミネーションの正確な発見と除去を行うin silicoの確率的コンタミネーション除去法であるSCRuB(Source tracking for Contamination Removal in microBiomes)を紹介する。人為的なコンタミネーションを含む複数のデータ主導型のシミュレーションと実験でその正確さを検証し、SCRuBは最新の方法よりも平均で15~20倍優れていることが実証された。SCRuBは、さまざまな生態系、データの種類、塩基配列解読深度でロバスト性が示された。マイクロバイオーム研究への応用性を実証するものとして、SCRuBは宿主表現型の予測の改善を促進した。中でも注目すべきは、コンタミネーションを除去した腫瘍マイクロバイオームデータによる黒色腫患者の治療反応の予測である。