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細胞内光架橋質量分析法とディープラーニングによるタンパク質構造の予測
Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01704-z
AlphaFold2は一次配列から正確なタンパク質構造を予測することができるが、コンフォメーションが変化するタンパク質や相同配列がほとんど知られていないタンパク質に関しては課題が残っている。今回我々は、AlphaFold2の改良版で、実験による距離制限情報をそのネットワーク構造に組み込むアルゴリズムであるAlphaLinkを紹介する。AlphaLinkは、実験で得たスパースな接触をアンカーポイントとして用いることにより、難易度の高い標的の予測でAlphaFold2を上回る性能を示す。我々は、非カノニカルなアミノ酸であるフォトロイシンを用いて架橋質量分析法によって細胞内の残基間接触情報を得ることで、これを実験的に確認した。このプログラムは、与えられた距離制限に基づいてタンパク質の異なるコンフォメーションを予測することができ、タンパク質構造予測の実行における実験データの価値を示している。今回紹介したタンパク質構造予測におけるノイズに強いデータ統合の枠組みは、細胞内データからの正確なタンパク質構造の解明に道を開くものである。