Review Article
変化する環境における持続可能性のための土壌マイクロバイオーム工学
Nature Biotechnology 41, 12 doi: 10.1038/s41587-023-01932-3
微生物生態学と合成生物学の近年の進歩には、地球の土壌生態系に悪影響を与える人間活動が引き起こす被害を軽減できる可能性がある。本論文では、自然および人工の土壌微生物群集の利用に関する課題と機会について論じ、さまざまなシナリオにおける植物の成長促進に着目する。我々は、土壌生態系の微生物的解決策に関する現在のニーズや、そうした解決策の開発と応用の現状、新たなバイオ技術のブレークスルーが微生物製品を特定用途に向け調整して導く可能性を検討する。そして、土壌生態系に影響を与える微生物の特性評価、土壌環境中で集まって相互作用する微生物の管理、遺伝子工学的手法群の開発など、土壌マイクロバイオーム工学における複数の科学技術的進歩に目を向ける。本総説は、有益な土壌マイクロバイオームの組成、動態、展開について理解し、健全な土壌生態系の修復と保護を行うことによって環境被害を緩和または解消するための研究を進める学際的な取り組みの必要性を強調するものである。