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リアルタイムの雑音除去がショット雑音限界を超える高感度の蛍光タイムラプス画像化を可能にする
Nature Biotechnology 41, 2 doi: 10.1038/s41587-022-01450-8
蛍光顕微鏡法には、光子の検出で避けられない偶然性によって生じる光子ショット雑音という根本的な課題がある。雑音は測定の不確定性を増大させ、画像化の分解能、速度、および感度を制限する。本論文では、ショット雑音限界を超える高感度の蛍光画像化を実現するものとして、リアルタイムに雑音を抑制する自己教師ありのディープラーニング法DeepCAD-RTを紹介する。我々の先行的機構であるDeepCADに基づき、ネットワークパラメーター数の94%削減、メモリー消費の27分の1圧縮、および処理時間の20分の1短縮を行い、二光子顕微鏡のリアルタイム処理を可能にした。高い画像化SN(信号対雑音)比が、標準的な画像化法の10分の1の光子で得られる。マウス、ゼブラフィッシュ仔魚、およびショウジョウバエのin vivo カルシウム画像化、急性脳損傷後の好中球の三次元(3D)遊走の記録、ならびに皮質ATP放出の3D動態の画像化など、一連の光子制限実験でDeepCAD-RTの有用性が示された。DeepCAD-RTは、最小限の光子予算(photon budget)による生物学的動態の形態・機能研究を促進すると考えられる。