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ディープラーニング生成モデルによる2型糖尿病の薬剤・オミクス関連の発見

Nature Biotechnology 41, 3 doi: 10.1038/s41587-022-01520-x

生物医学コホートで複数のオミクス技術を用いることで、患者レベルの疾患の特性や治療に対する個別の応答が明らかになる可能性がある。しかし、多層的データは、その規模や異質さのため、統合や推論が容易でない。我々は、ディープラーニングを利用してそうしたデータの統合を行う「マルチオミクス変分オートエンコーダー(MOVE)」というフレームワークを開発し、新規に2型糖尿病と診断されDIRECTコンソーシアムでマルチオミクスの詳細な表現型評価が行われている789例のコホートにそれを用いた。in silicoの摂動を用いることで、2型糖尿病患者に極めて広く投与されている20種類の薬剤に関して、多層的データセット全体の薬剤・オミクス関連が、単変量統計検定を大きく上回る感度で見いだされた。中でも、メトホルミンと腸内微生物相との新規の関連や、シンバスタチンおよびアトルバスタチンという2種類のスタチンへの相反する分子応答が明らかになった。今回得られた関連を利用して、薬剤間の類似性の定量化およびポリファーマシーの程度の評価を行い、薬剤の効果が多層的に広がっているという結論が得られた。

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