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TadAバリアントから作製された改良版シトシン塩基エディター

Nature Biotechnology 41, 5 doi: 10.1038/s41587-022-01611-9

シトシン塩基エディター(CBE)はゲノムのC•GからT•Aへのプログラム可能なトランジション(塩基転位型)変異を可能にし、一般に改変CRISPR–Cas酵素、天然に存在するシチジンデアミナーゼ、ウラシル修復阻害因子によって構成される。これまでの研究で、天然に存在するシチジンデアミナーゼを利用するCBEは、誘導によらないゲノム規模のシトシン脱アミノ化を引き起こす場合があることが示されている。ゲノム規模の確率論的なオフターゲット変異を減少させる改良版CBEがその後に発表されているが、そうしたエディターはオンターゲットの性能が必ずしも最適ではない。本論文では、TadAの改変バリアントを用いるCBE(CBE-T)の作製と、その特性評価について発表する。このCBE-Tは、さまざまな塩基配列のゲノム座位にわたってC•GからT•Aへの高率のオンターゲット変換を可能にし、初代細胞でロバストな活性を示すが、ゲノム規模の変異の増加は認められなかった。また、我々は、AからIへの編集とCからUへの編集の両方を触媒するシトシン・アデニン塩基エディターも紹介する(CABE-T)。ABEと共に、CBE-TとCABE-Tは、実験室での進化によって既報のCBEよりも優れた特性が備わったTadAバリアントの使用による全てのトランジション変異のプログラム可能な導入を可能にする。

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