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機能遺伝学スクリーニングプラットフォームによるハイスループットで選択的なMHCクラスIイムノペプチドミクス
Nature Biotechnology 41, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01566-x
免疫療法の開発にはCD8+ T細胞エピトープの発見が極めて重要である。主要組織適合複合体クラスI(MHCクラスI)のリガンドを発見する既存の方法は、時間がかかり、専門的で、特定のタンパク質を大規模に調べることができない。本論文では、遺伝子コードされたペプチドがMHCクラスIリガンドであるかどうかの指標として細胞表面のMHCクラスIのレベルを用いるEpiScanを紹介する。10万以上のペプチドからなる事前設定の出発プールはオリゴヌクレオチド合成で設計することができ、大規模なMHCクラスIのスクリーニングを可能にする。EpiScanがこのようにプログラム可能であることを利用して、予測されるリガンドの数を9~21%増やすシステインのこれまで知られていなかった役割を見いだし、偏りのあるアンカーペプチドのライブラリーの解析によって親和性の階層構造を明らかにし、MHCクラスIリガンドに関するウイルスプロテオームのスクリーニングを行った。こうしたデータを使用することにより、我々はペプチドの結合の予測を得てそれを繰り返し改良し、EpiScan Predictorを構築した。EpiScan Predictorは、システイン含有ペプチドの見逃しを犯すことなく、他の最先端のMHCクラスIペプチド結合予測アルゴリズムに匹敵する性能を発揮した。以上のことから、EpiScanによる選択的イムノペプチドミクスは、個人に特異的な免疫療法という目標に向けてCD8+ T細胞エピトープの発見を加速させると考えられる。