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酵素を用いたアデノシンの脱アミノ化によるN6-メチルアデノシンのトランスクリプトーム規模のプロファイリングと定量
Nature Biotechnology 41, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01587-6
N6-メチルアデノシン(m6A)は、高等真核生物のメッセンジャーRNAに最も多く見られる内部修飾であり、細胞過程の調節で無数の役割を担っている。しかし、高分解能で定量的な検出方法が存在しないこともあり、m6Aの機能解析は進展していない。本論文では、アデノシンの包括的な脱アミノ化によってm6Aを検出・定量する酵素を用いた塩基配列解読技術であるeTAM-seq(evolved TadA-assisted N6-methyladenosine sequencing)を紹介する。我々は、HeLa細胞とマウス胚性幹細胞にeTAM-seqを用い、m6Aのトランスクリプトーム規模の分布を解析した。eTAM-seqで採用した酵素的脱アミノ化法はRNAを完全な状態に保ち、わずかな投入試料からのm6A検出を支える。m6Aのトランスクリプトーム規模のプロファイリングに加え、わずか10個の細胞(既存の定量的プロファイリング法よりも桁違いに少ない要求投入量)から、高カバー率の塩基配列解読によらない部位特異的なm6A定量を行うこともできた。eTAM-seqは、前例のない分解能でのm6A景観の探査のみならず、簡単な手順によるユーザー指定座位のm6A検出も可能にすると考えられる。