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ジンクフィンガーを設計する汎用深層学習モデルが転写因子の再プログラム化を可能にする
Nature Biotechnology 41, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01624-4
ゲノム上の特定の標的塩基配列に結合するように作製されたCys2His2ジンクフィンガー(ZF)ドメインは、遺伝子発現のプログラム可能な調節を行うための有効な戦略となり、さまざまな治療に応用される可能性がある。しかし、ZFドメインとDNAの結合は構造的に複雑であるため、その設計は困難であった。本論文では、490億組のタンパク質・DNA相互作用のスクリーニングを行い、任意のゲノム標的のためのZF設計を解決する深層学習モデルZFDesignの開発について報告する。ZFDesignは最新の機械学習法であり、さまざまなライブラリー環境によって生じる広域の差と標的固有の差をモデル化し、新規の階層型トランスフォーマー・アーキテクチャーを用いて隣接するフィンガーの適合性を明確に考慮する。ヒト転写因子をシームレスに再プログラム化することにより、設計されたZFは、ヌクレアーゼに加えてアクチベーターやリプレッサーとしての汎用性が示された。こうした因子は、ハプロ不全対立遺伝子の発現上昇や機能獲得変異の発現減少、あるいは、1つの転写因子が通常影響を与える多数の遺伝子ではなく、単一の遺伝子の調節による影響の検証に使用できると考えられる。