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人工的なメカノトランスダクションと細胞間力の検出を行う張力調整受容体
Nature Biotechnology 41, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01638-y
細胞は周囲の環境や近隣細胞からの機械的刺激を読み取っているが、カスタマイズされたメカノセンシング機能を設計できるようにすることは、依然として合成生物学と機械生物学の課題となっている。本論文では、細胞外と細胞内の力を指定可能な遺伝子発現変化に変換するための張力調整型の合成Notch(SynNotch)受容体を紹介する。構造に基づく変異誘発と組み合わせてSynNotch活性化の要求張力を大きくすることで、生理学的に意味のあるピコニュートンレベルの機械的感受性を有する一連の受容体を設計した。これらの受容体を発現する細胞は、異なる張力を識別し、カスタマイズ可能な転写プログラムを実行することによって応答することができる。こうしたツールを応用し、特定の大きさの張力による刺激を受けると繊維芽細胞が筋芽細胞に分化する意思決定回路を設計した。また、Notchシグナル伝達中に細胞間で伝達される細胞起源の力の特性評価も行った。総合すると、本研究では、機械的に誘発されたタンパク質構造の変化を用いて物理的な力を生化学的シグナルに変換する方法に関する知見が得られた。この系は、生物システム内の力に関連する現象のさらなるプログラミングと分析を促進することが期待される。