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シュミット望遠鏡に着想を得た反射多重液浸顕微鏡対物レンズ
Nature Biotechnology 42, 1 doi: 10.1038/s41587-023-01717-8
大きな透明化試料の画像を得るには、大きな視野(FOV)と共に長い作動距離(WD)と大きな開口数(NA)を備えた顕微鏡対物レンズが必要となる。そのような対物レンズはさまざまな液浸媒体に対応することが理想であるが、従来のレンズに基づく対物レンズの設計では実現が難しい。本論文では、この問題の解決策として、球面鏡と非球面補正プレートからなる多重液浸「シュミット対物レンズ」を紹介する。我々は、多光子版のシュミット対物レンズがあらゆる均質な液浸媒体に対応し、屈折率1.56でNA 1.08、FOV 1.1 mm、WD 11 mmを達成したことを示した。そして、空気や水からベンジルアルコール/安息香酸ベンジル、ジベンジルエーテル、ケイ皮酸エチルまでのさまざまな媒体で透明化試料を画像化することで、また、ゼブラフィッシュ幼生のニューロン活動をin vivoで画像化することで、その多用途性を明らかにした。今回の概念は、原理的に、広視野顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、光シート顕微鏡法など、あらゆる画像化法に拡張することができる。