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ある種のキンクターンRNA群がスプライシング調節因子であることを明らかにしたRIP-PEN-seq
Nature Biotechnology 42, 1 doi: 10.1038/s41587-023-01749-0
キンクターン(Kターン)は、3つの主要な系統発生学的ドメインの全てに存在する三次元RNA構造である。本研究では、Kターン結合タンパク質15.5Kが結合するRNAの全長塩基配列を明らかにするRIP-PEN-seq法を開発し、ヒトとマウスで逆Kターンモチーフを持つこれまで明らかにされていなかった種類のRNA群(bktRNA)を発見した。全てのbktRNAは、決まった末端側の位置に2つのコンセンサス配列モチーフを共有し、複雑な折りたたみ特性、発現、進化パターンを持つ。我々は、高度に保存されたbktRNA1がメチルトランスフェラーゼのフィブリラリンを導き、ヒトで核内低分子RNAのU12にメチル化を施すことを発見した。bktRNA1の欠乏は、マイナースプライソソームへのZCRB1の動員を弱めることにより、U12型イントロンの全体的なスプライシング調節異常を引き起こす。大多数のbktRNAは、15.5Kタンパク質との相互作用によって局所的なイントロンのスプライシングを調節している。以上のことから、今回の知見は、ある低分子RNA群の特徴を明らかにし、bktRNA、RNAスプライシング、RNAメチル化の間のクロストークが関与する新たな階層の遺伝子発現調節を見いだした。