Review Article
de novoタンパク質設計による機能の実現
Nature Biotechnology 42, 2 doi: 10.1038/s41587-024-02133-2
タンパク質の情報は、配列から構造、さらに機能へと流れ、それぞれの段階はその前の段階によって導かれる。タンパク質設計はこの過程を逆転させることで成り立っている。すなわち、求める機能を明確化し、その機能を発揮する構造を設計して、その構造に折りたたまれる配列を見いだす。この「セントラルドグマ」は、ほぼ全てのde novoタンパク質設計作業の基礎となっている。こうした課題を達成できるかどうかは、タンパク質の折りたたみや機能に関する理解と、その理解を計算法に取り込む能力にかかっている。近年、効率的で正確な構造モデル化と有効な設計の蓄積を行うディープラーニング由来の手法により、タンパク質構造の設計を超えて、機能性タンパク質の設計への進歩が可能となった。本論文では、標準的なde novoタンパク質設計に関してより広い視野でこうした進歩を検討し、配列と構造の協調設計や柔軟性を考慮したコンホメーション制御などの基本的な能力や、抗体や酵素の設計のような機能面の目的など、今後の課題への意義を考察する。