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ファージを含めたヒト腸内マイクロバイオームのプロファイリングを行うPhanta

Nature Biotechnology 42, 4 doi: 10.1038/s41587-023-01799-4

技術的な制約のため、腸内マイクロバイオーム研究は原核生物に注目するものが大多数となっており、ウイルスは見過ごされてきた。ウイローム(virome)を含む腸内マイクロバイオームのプロファイリングを行うツールであるPhantaは、k-merに基づくカスタマイズされた分類ツールを用いることと、最近公開された腸内ウイルスゲノムのカタログを組み入れることにより、アセンブリに基づくウイルスプロファイリング法の限界を克服した。Phantaの最適化では、ウイルスゲノムの小ささ、原核生物との塩基配列の相同性、他の腸内微生物との相互作用を考慮している。Phantaを模擬データで大規模に検証したところ、原核生物とウイルスが迅速かつ正確に定量されることが示された。健常成人の糞便メタゲノム245例に応用すると、1検体当たり約200種のウイルスが見いだされ、これはアセンブリに基づく標準的な方法の約5倍であった。DNAウイルスと細菌の比は約2:1であり、個人間変動は腸内ウイロームの方が腸内バクテリオームよりも大きかった。別のコホートでは、バルクのメタゲノムとウイルス濃縮メタゲノムとでPhantaが等しく良好に機能することが認められ、1回の実験、1回の解析で原核生物とウイルスを調べることが可能となった。

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