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エリマキシギ:超遺伝子が、極めて異なる、エリマキシギ雄の繁殖に関する表現型を決定する

Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3443

配偶行動をレックの場所で行う渉禽の1種、エリマキシギPhilomachus pugnaxの雄では、著しく異なる繁殖ための表現型(モルフ)が3種類平衡多型として共存している(攻撃的な「independent」型、やや協調的な「satellite」型、雌の擬態を呈する「faeder」型)。体の大きさや飾り羽、攻撃的な行動および配偶行動に認められる大きな違いが、常染色体性の多型として世代を超えて引き継がれていく。本論文では、「satellite」型と「faeder」型の創出が、125の候補遺伝子からなる超遺伝子によって決定されていることを示した。この超遺伝子は、11番染色体に逆位として存在し、遺伝子組換えなしの優性ハプロタイプからなり、「satellite」型と「faeder」型の間で大きく異なっている。一方、「independent」型では、祖先遺伝子配列がホモ接合性を呈していた。逆位によって生じた切断点の片方が必須遺伝子の(セントロメアタンパク質Nをコードする)CENP-Nを中断していることから、逆位がホモ接合性で存在すれば致死性となることを系統解析によって確認した。さらに、モルフ間の違いを新たに行動様式、精巣サイズ、ステロイド代謝において明らかにした。そして、モルフ間の繁殖形質の違いに寄与すると考えられる多型遺伝子を逆位領域に同定した。

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