Analysis

乳がん:ネットワークの統合的解析によって同定される乳がんの遺伝的リスクの調節因子

Nature Genetics 48, 1 doi: 10.1038/ng.3458

乳がんの遺伝的リスクは、小さな効果を持つバリアントが複数組み合わさってもたらされる。リスク座位がどのように組み合わさっているかを知るため、リスク関連遺伝子が調節機序を共有しているかどうかを調べた。転写因子とその想定標的遺伝子群(レギュロン)から構成される乳がん遺伝子調節ネットワークを構築し、eQTL(発現量的形質座位)を用いて、特定のレギュロンがリスク座位に関連する遺伝子に多く含まれているかどうかを明らかにしようと試みた。その結果、リスク座位に多く含まれ、ネットワーク内で1つの特徴のあるクラスターを形成する、36の重複したレギュロンが見つかった。このことはこれらのレギュロンの生物学的特性が共通であることを示している。これらのレギュロンを活性化するリスク関連転写因子は、乳がん患者において高い頻度で変異が生じており、相反する2つのサブグループに存在していた。すなわち、エストロゲン受容体(ER)+のルミナールAないしBに関係するグループと、ERの基底細胞様型に関係するグループであり、両者は成人乳腺内では異なる管腔上皮集団に属している。今回のネットワーク解析は、乳がんを左右する調節回路を決定し、治療介入のための標的を特定する基盤となる。また、この解析法は乳がん以外の疾患に対しても適用可能である

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