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初期胚のエピゲノム:マウス胚で初期細胞系譜を指定する過程での動的なエピゲノム全体像

Nature Genetics 50, 1 doi: 10.1038/s41588-017-0003-x

哺乳類では、全ての体細胞の発生は初期胚の細胞系譜の分離に起源がある。しかし、最初の細胞運命拘束と協調するトランスクリプトームやエピゲノムの動態の特徴は、あまり明らかになっていない。そこで本研究では、着床前後でのマウス胚の初期細胞系譜のトランスクリプトームおよび一塩基分解能でのメチロームについて包括的に調べた。その結果、CG部位やCH部位での対立遺伝子特異的および細胞系譜特異的なde novoメチル化が明らかになり、この特異的なde novoメチル化が、胚の細胞系譜と胚体外の細胞系譜の間で、細胞系譜調節因子のプロモーター、遺伝子本体、DNA低メチル化領域のメチル化の差異をもたらすことが分かった。Hi-C実験を用いて同一の発生段階でのクロマチン構造を決定することで、初期発生でのDNA全体の脱メチル化および再メチル化の両方がクロマチン区画と相関することを実証した。動的な局所メチル化は原腸形成の際に明らかであることから、推定の調節配列を同定することができた。さらに、de novoメチル化パターンの形成に着床が必ずしも必要ないことが分かった。これらのデータは、哺乳類の細胞系譜指定の最初期段階におけるトランスクリプトーム、DNAメチローム、クロマチン3Dの動的な全体像を明らかにしている。

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