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肥満:ボディマス指数に関連するコード配列バリアントは、肥満におけるエネルギーの摂取と消費を制御する経路に関与している

Nature Genetics 50, 1 doi: 10.1038/s41588-017-0011-x

ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって250以上のボディマス指数(BMI)関連座位が同定され、神経生物学的経路の関与が示唆されている。しかし、GWASにより同定された座位のほとんどは、ありふれた非コード配列群であり、原因遺伝子の特定は依然として困難である。本研究では、718,734人分のデータを統合し、BMIに関連したコード配列における希少なバリアント、ないしは低頻度〔マイナー対立遺伝子頻度(MAF)<5%〕のバリアントを同定した。13の遺伝子に14のコード配列バリアントが同定された。そのうちの8つはヒトの肥満への関与が新たに判明した遺伝子(ZBTB7BACHERAPGEF3RAB21ZFHX3ENTPD6ZFR2ZNF169)に存在し、2つは高度肥満における変異が知られている遺伝子(MC4RKSR2)に、2つはGIPRに存在していた。希少なバリアントの効果量はありふれたバリアントよりも約10倍大きい。最大の効果が見られたのは終止コドンを導入するMC4R変異(p.Tyr35Ter、MAF = 0.01%)の保有者で、体重は非保有者と比較して約7 kg重かった。BMI関連バリアントの経路解析では、神経関連遺伝子が豊富であることが確認された。この結果は、脂肪細胞およびエネルギー消費の生物学に新たな知見を提供するとともに、遺伝学的な裏付けを有する肥満治療標的候補の範囲を広げるものである。

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