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心房細動:バイオバンク駆動型のゲノム解析から得られた心房細動の生物学に関する新しい洞察
Nature Genetics 50, 9 doi: 10.1038/s41588-018-0171-3
心房細動は最も広く見られる不整脈である。その基盤にある遺伝学的多様性を明らかにする目的で、心房細動患者6万620人および対照97万216人からなる100万人以上を対象として、ゲノムワイド関連解析を実施した。その結果、111の座位に142の独立したリスクバリアントが同定され、心房細動に関連している可能性の高い151の機能的候補遺伝子が順位付けられた。同定されたリスクバリアントの多くは、ヒトにおいて重度の心欠損を引き起こす有害度の高いバリアントが報告されている遺伝子(GATA4、MYH6、NKX2-5、PITX2、TBX5)の近傍か、あるいは、横紋筋の機能および構造に重要な遺伝子(CFL2、MYH7、PKP2、RBM20、SGCG、SSPNなど)の近傍に位置している。経路解析ならびに機能エンリッチメント解析の結果、心房細動に関連を有する候補遺伝子の多くが、胎生期の心臓発生の過程、あるいは成人の心臓におけるストレス応答において、おそらく「心房心筋症」の形で、心房筋の構造リモデリングを介して作用していることも示唆された。