Analysis
調節配列:シス調節配列の変化がコード配列のバリアントの浸透度を修正することにより疾患リスクに影響する
Nature Genetics 50, 9 doi: 10.1038/s41588-018-0192-y
遺伝子型と表現型の間に見られる強い関連の多くは、コード配列のバリアントによるものである。しかし、その効果には個人間で差異が見られ、「浸透率の差異(variable penetrance)」という言葉で表される。本論文では、シス調節配列の変化が、コード配列バリアントの浸透率をどのように修正するかについて調べた。機能ゲノミクスとGTEx(Genotype-Tissue Expression Project)の遺伝的データを用いて解析したところ、一般集団においては、病因性コード配列バリアントの浸透率を上昇させると予測されるハプロタイプの組み合わせが、純化選択により除去されていることが観察された。逆に、がんや自閉症の患者においては、疾患に関係する遺伝子の病因性バリアントの浸透率を上昇させるハプロタイプの配置が多く観察されたことから、コード配列バリアントを調節するハプロタイプの配置が疾患リスクに影響を及ぼすという証拠が示された。さらに、トランスクリプトームを表現型の読み出しとして持つ異なる発現ハプロタイプに関して、メンデル遺伝する一塩基多型(SNP)をCRISPR/Cas9を用いて編集し、このモデルを実験的に検証した。我々の結果から、調節配列バリアントとコード配列バリアントを合わせた効果が、ヒト形質の遺伝的構造の重要な部分であること、また、病因性バリアントの修正された浸透率に関与することが実証された。