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がん免疫療法:マイクロサテライト安定性固形腫瘍における免疫チェックポイント阻害に対する反応と相関するゲノムの特徴
Nature Genetics 50, 9 doi: 10.1038/s41588-018-0200-2
腫瘍変異量は、多数の固形腫瘍において免疫チェックポイント阻害に対する反応と相関性を示すが、マイクロサテライト安定性腫瘍では、この関連の臨床的有用性は明らかになっていない。本論文では、放射線への応答をはじめ、免疫チェックポイント療法に対する臨床的な結果が明らかになっている患者を対象に研究を行った。これらの多数のタイプのがん患者から得た249の腫瘍とそれに対応する正常組織についての全エキソーム塩基配列決定(WES)を統一的に解析し、腫瘍ゲノムの選択的応答に関与するさらなる特徴を調べたのである。その結果、変異量よりも相関が見られる応答についてのゲノムの特徴として、個々のドライバー遺伝子の体細胞性事象、変異の全体的なシグネチャー、特定のHLA拘束性ネオアンチゲンなどが明らかになった。しかし、これらの特徴は相互に関係している場合が多く、免疫抑制性の腫瘍環境を作り出す遺伝的ドライバー事象の特定には複雑性があることが明らかになった。この研究は、免疫チェックポイント阻害への反応を予測する臨床的に重要な特徴を発見する能力を高めるために、大規模な臨床コホートを統合的かつ多面的に解析する道を開くものである。