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エピジェネティクス:白血病誘導中の変異の相乗効果は、クロマチン接近性、ヒストン修飾、三次元DNAトポロジーをリモデリングして、遺伝子発現を変化させる

Nature Genetics 53, 10 doi: 10.1038/s41588-021-00925-9

転写の変化は、急性骨髄性白血病(AML)の主要な特徴だが、変異がどのように相乗的に作用してエピジェネティック全体像をリモデリングし、DNAの三次元トポロジーを再構築するのか、その仕組みについては明らかになっていない。今回我々は、AMLにおける最もありふれた2つの変異(Flt3-ITDNpm1c)をモデル化したマウスの一連の対立遺伝子に対して、包括的なゲノミクス手法を適用した。次に我々は、エピジェネティックな全体像やゲノムの構成の変化に対して各変異がどのように関与するかを解析し、AMLの誘導において変異がどのように相乗的に作用するかを推定した。我々の研究から、Flt3-ITDは、クロマチンにシグナルを送ってエピジェネティック環境を変化させること、また、Npm1cの変異と相乗的に働いて遺伝子発現を変化させ、白血病誘導を引き起こすことが分かった。これらの解析により、これまで明らかにされていなかったHoxa座位のスーパーエンハンサーなどの長距離シス調節回路や遺伝子調節ネットワークの、より広範囲かつ詳細な特定が可能となった。後者には、PU.1やIRF8などの転写因子により作動する遺伝子調節ネットワークがあり、その重要性は変異導入により突き止められた。

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