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糖尿病:新しく定義された糖尿病サブタイプ間の病因の違いをゲノムワイド関連解析により解明する

Nature Genetics 53, 11 doi: 10.1038/s41588-021-00948-2

2型糖尿病は疾患の進行や合併症の発症リスクが異なる5つのサブタイプに明確に分かれるが、それらの病因の違いは分かっていない。本研究では、ゲノムワイド関連解析および遺伝学的リスクスコア(GRS)解析を用いて、各サブタイプの病因の基盤となる遺伝学的ドライバーの比較を行った。スウェーデンのANDIS(All New Diabetics In Scania)研究で登録された糖尿病患者を、糖尿病のない人たちと比較した。再現解析は、フィンランドのDIREVA(Diabetes register in Vasa)研究およびBotnia研究のデータを用いて行った。その結果、糖尿病の家族歴および糖尿病関連形質に関するGRSとの関連がサブタイプによって異なることが分かった。重度のインスリン抵抗性を示すサブタイプは、空腹時インスリン値に関するGRSと一義的に関連していたが、TCF7L2座位のバリアントやインスリン分泌を反映するGRSとは関連していなかった。LRMDA近傍のSNP(rs10824307)は、軽度の肥満関連糖尿病と一義的に関連していた。結論として、我々は、各サブタイプの遺伝学的背景は部分的に異なっており、それが病因の違いを示しているものと考える。

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