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COVID-19:ACE2の新規アイソフォームがヒト呼吸上皮に発現しており、インターフェロンや呼吸器RNAウイルス感染に応答して発現上昇する
Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00759-x
アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、気道上皮細胞における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の主要な侵入点である。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質にACE2が結合すると、ウイルスと細胞の細胞膜との融合が始まり、その結果、ウイルスのRNAゲノムが宿主内に送達される。SARS-CoV-2感染におけるACE2の役割の重要性にもかかわらず、ACE2の発現は十分には解明されておらず、ACE2の発現がウイルス感染でどのように変化するかといったことが未解明である。ACE2はこれまで、5つの転写産物と805個のアミノ酸からなる1つのタンパク質をコードすると考えられていた。本論文で我々は、SARS-CoV-2感染の主要部位である気道上皮に発現するACE2の短い新規アイソフォームを明らかにする。短いACE2は、インターフェロン刺激やライノウイルス感染に応答して大きな発現上昇が見られたが、SARS-CoV-2感染では発現上昇は見られなかった。この短いアイソフォームはSARS-CoV-2のスパイクの高親和性結合部位を欠損している。まとめると我々のデータは、短いACE2がSARS-CoV-2感染に対する宿主の感受性に直接関与する可能性は低いというモデルと一致している。