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がんの進化:大腸がんにおける単一細胞での核型変化の再構築により断続的および段階的な多様化パターンが明らかになる

Nature Genetics 53, 8 doi: 10.1038/s41588-021-00891-2

腫瘍進化の中心は遺伝学的多様性が生じることである。しかし、核型のde novo変化が出現し、ヒト腫瘍内に広まる程度やパターンは、特に単一細胞分解能レベルでは、よく分かっていない。本論文では、腫瘍オルガノイド増殖の生細胞イメージングと各イメージング細胞の全ゲノム塩基配列決定を統合し、連続した細胞世代にわたって、進化している腫瘍細胞の核型を再構築するプロトコルである3D Live-Seqを示す。患者由来の大腸がんオルガノイドと腫瘍の新鮮生検を用いて、さまざまな複雑さを備えた核型変化はよく見られる現象であること、また、そのような核型変化は数細胞世代以内に生じ得ることが示された。染色体の無動原体断片は、複製して、連続的な細胞分裂を経て、まとまって誤分離を起こす傾向があった。対照的に、ゲノム規模の核型変化は全体として、ただ1回の誤った細胞分裂で生じており、これは異数性腫瘍ゲノムが断続進化を介して進化できることを裏付けている。がんにおける核型多様化の時間的な動態やパターンのマッピングにより、悪性化獲得に至る適応度の進化過程を再構築することが可能になる。

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