Article
アルツハイマー病:アルツハイマー病の単一核クロマチン接近性とトランスクリプトーム特性
Nature Genetics 53, 8 doi: 10.1038/s41588-021-00894-z
脳の遺伝子調節の全体像は、健康なときも罹患したときも、非常に動的であり、異なる細胞タイプ間での多様な生物学的過程を連携させている。今回我々は、後期アルツハイマー病(AD)の19万1890個の核に対して行った単一核マルチオミクス研究について報告する。この研究は、我々のウェブポータルからアクセス可能である。この研究では、同一の生物学的試料におけるクロマチン接近性と遺伝子発現のプロファイリングを行い、膨大な細胞不均一性を明らかにしている。細胞タイプ特異的で疾患に関連したシス調節配列候補や、それらの標的遺伝子候補が見つかり、この中には、APOEやCLUと結び付くオリゴデンドロサイト関連調節モジュールなどが含まれていた。我々は、ゲノムワイド関連解析によって定義されたADリスク座位のサブセットで、特定の細胞タイプにおけるシス調節の関係について明らかにし、この単一核マルチオミクス研究が有用であることを実証する。グリア集団の追跡解析からは、SREBF1などの疾患関連転写因子や、その調節標的が見つかった。最後に我々は、ばらつきの大きい疎な単一細胞データに対して共発現ネットワーク解析を行うロバストな戦略である、単一核コンセンサス加重遺伝子共発現解析を導入し、ADトランスクリプトームのシステム生物学的解析を行った。