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乳がん:ヒト乳がんの単一細胞および空間的に分解されたアトラス

Nature Genetics 53, 9 doi: 10.1038/s41588-021-00911-1

乳がんは複雑な細胞生態系を示し、そこで起こるヘテロな相互作用が乳がんのプログレッションや治療への反応において中心的な役割を担っている。しかし、乳がんの細胞組成や組織化についての我々の知識は限られたものである。本論文では、ヒト乳がんの単一細胞レベルおよび空間的に分解されたトランスクリプトミクス解析について示す。我々は、単一細胞レベルで内在的サブタイプの分類(SCSubtype)を行う方法を開発し、腫瘍細胞に頻発する不均一性を明らかにした。CITE-seq(cellular indexing of transcriptomes and epitopes by sequencing)を用いた免疫表現型判定から、臨床転帰に関連する新しいPD-L1/PD-L2+ マクロファージ集団といった、高分解能の免疫プロファイルが示された。間葉系細胞には3つの主要な細胞系譜があり、その細胞系譜内での分化によって多様な機能や細胞表面タンパク質発現を示すことが分かった。腫瘍において間質-免疫ニッチは空間的に組織化されており、抗腫瘍免疫調節についての手掛かりが得られた。単一細胞シグネチャーを用いて、大規模な乳がんコホートをデコンボリューションすると、独特の細胞組成と臨床転帰を持つ9つのクラスター(「エコタイプ」と名付けた)に層別化された。この研究から乳がんの細胞構造の包括的な転写アトラスが示された。

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