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発現量的形質座位:大規模なシスおよびトランスeQTL解析による、血液中の遺伝子の発現を制御する数千の遺伝的座位およびポリジェニックリスクスコアの同定

Nature Genetics 53, 9 doi: 10.1038/s41588-021-00913-z

複雑表現型に影響を及ぼす形質関連遺伝子バリアントは、主にトランスクリプトームの制御機構を介して作用する。遺伝子発現の遺伝学的機序を詳細に調べる目的で、本研究ではeQTLGenコンソーシアムから入手した3万1684人の血液由来の遺伝子発現データを用いて、シスおよびトランスeQTL(発現量的形質座位)解析を実施した。88%の遺伝子にシスeQTLが検出され、さまざまな組織で再現可能であった。遠位もしくは別の染色体に位置するトランスeQTL(検討した1万317の形質関連バリアントのうち37%に検出された)では再現率が低く、その原因の一部はサンプル数不足による再現性実験の統計的検出力の低さと、細胞種の交絡であると考えられた。しかし、単一細胞RNA-seqのデータを用いた再現解析では、細胞内の制御機構を介して作用するトランスeQTLが優先的に再現された。トランスeQTLはいくつかの機序でその効果を発揮していたが、主要な機序は転写因子による制御を介したものであった。13%の遺伝子の発現が1263の表現型のポリジェニックリスクスコアと相関しており、これらの表現型のドライバー遺伝子候補の特定に役立つ。要約すれば、本研究は大規模なeQTLに関する情報資源を提供し、その結果は、複雑表現型の詳細な解釈を行う際の出発点となる。

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