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発現量的形質座位:統一された方法で処理されたヒトの遺伝子発現およびスプライシング量的形質座位の概要
Nature Genetics 53, 9 doi: 10.1038/s41588-021-00924-w
多くの遺伝子発現量的形質座位(eQTL)研究は要約統計量を公開しており、これを用いて詳細なマッピングや共局在などの下流の解析を行えば、ヒトの複雑な形質についての手掛かりを得ることができる。しかし、これらのデータセットの間には用いられた技術の違いがあるため、広範な使用の障壁となっている。その結果、ほとんどのゲノムワイド関連解析(GWAS)シグナルの標的遺伝子はいまだ特定されていない。本研究では21の研究を基に、遺伝子発現とスプライシングQTLの情報資源となるeQTLカタログ(https://www.ebi.ac.uk/eqtl)を示す。これらは、品質管理され、統一された方法での再計算により得られたものである。細胞のタイプと組織を対応させると、eQTLの効果量は研究間で再現性が高いことが分かった。ほとんどのQTLは、細胞集団として解析された大部分の組織間で共有されていたが、純化された細胞タイプでは細胞タイプ特異的QTLの多様性は大きくなり、その一部は疾患との新しい共局在を示すことも明らかになった。我々の要約統計量は自由に利用可能なので、いろいろな細胞タイプや組織について得られているヒトGWASの関連を系統的に解釈する上で役立つだろう。