Analysis

COVID-19:SARS-CoV-2のゲノムサーベイランスとデータ共有の世界的な状況

Nature Genetics 54, 4 doi: 10.1038/s41588-022-01033-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の変異体についての理解は、ゲノムサーベイランスにより進められてきた。我々は、国ベースで収集されたデータを用いて、SARS-CoV-2のゲノムサーベイランスとゲノムデータの世界レベルでの状況を解析した。今回我々は、2021年初頭にアルファ変異株が広まり、その後2021年5月ごろにデルタ株に置き換わったことを明らかにした。SARS-CoV-2のゲノムサーベイランスと塩基配列解読がどれほど利用可能かは国によって著しく異なる。45か国はゲノムサーベイランスを高い水準で定期的に行っており、96か国はSARS-CoV-2の塩基配列解読の利用可能度が高い。また、我々は、塩基配列解読の割合、塩基配列解読の技術、データ公開までの時間、公開されたメタデータの完全性が地域や所得層間で著しく不均一であることを観測した。変異体について明示的な報告を行っている国の37%は、懸念される変異株(VOC)の塩基配列の半分以下しか公共レポジトリで共有していなかった。我々の調査結果は、塩基配列のタイムリーで完全な公開、メタデータファイルの標準化、そして塩基配列解読やバイオインフォマティクスの能力が限られている国に対する支援を増強する喫緊の必要性を示すものである。

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