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COVID-19:双方向性のゲノムワイドCRISPRスクリーニングは、SARS-CoV-2、MERS-CoVおよび季節性HCoVの宿主制御因子を明らかにする

Nature Genetics 54, 8 doi: 10.1038/s41588-022-01110-2

CRISPRノックアウト(KO)スクリーニングにより、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の複製を制御する宿主因子を同定した。本研究においてスクリーニング結果のメタ解析を行ったところ、得られた結果は細胞タイプ特異性が高く、宿主因子の全容を明らかにするためには追加のモデルが必要であることが浮き彫りになった。そこで、Calu-3肺細胞においてゲノム規模のKOおよび活性化スクリーニングを、Caco-2大腸細胞においてKOスクリーニングを実施し、続いて、4種類のヒト細胞株において二次スクリーニングを行った。その結果、AP1G1アダプチンやATP8B1フリッパーゼなどの宿主依存性因子、およびムチンなどの阻害因子が明らかになった。興味深いことに、同定された遺伝子の中のいくつかは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)やヒト季節性コロナウイルス(HCoV;HCoV-NL63およびHCoV-229E)の複製も仲介していた。さらに、AP1G1がおそらく細胞膜のTMPRSS2活性を制御しているように、ほとんどの遺伝子がウイルスの侵入に影響を与えていた。以上の結果より、SARS-CoV-2の複製を理解するためには、複数の細胞モデルと撹乱様式が有用であることが示され、また、治療介入のための潜在的な標的因子のリストが得られた。

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