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乳房組織:一細胞アトラスはヒト成人の乳房における恒常的な細胞状態の変化のマッピングを可能にする

Nature Genetics 56, 4 doi: 10.1038/s41588-024-01688-9

本論文では、一細胞RNA塩基配列決定を用いて、乳房縮小術あるいはリスク低減のための乳房切除術を受けた55人のドナーから構築したヒト乳房細胞アトラスを作製した。80万以上の細胞から、上皮、免疫、間質の区画にわたって41の細胞サブクラスターを明らかにした。これらの異なるクラスターの関与は、乳房組織の自然歴によりさまざまであった。乳がんの発症リスクを調節することが知られている、年齢、出産の回数、生殖細胞系列の変異は、乳房の恒常的な細胞状態に異なる方法で影響を及ぼした。また、BRCA1あるいはBRCA2の保因者の免疫細胞は、免疫疲弊の可能性を示す明確な遺伝子発現シグネチャーを持つことが分かり、これは免疫組織化学によって検証された。このことから、腫瘍イニシエーションの非常に初期段階で非がん組織に免疫回避機構が見られる可能性が示唆される。このアトラスは、乳がんの早期発見と予防のための新しい手法に情報提供する上で豊富な情報資源となる。

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