Article 実験的敗血症におけるリゾホスファチジルコリンの治療効果 2004年2月1日 Nature Medicine 10, 2 doi: 10.1038/nm989 敗血症は、集中治療室における主な死亡原因の1つである。本論文では、内因性リゾリン脂質の一種であるリゾホスファチジルコリン(LPC)のマウスへの投与が、腸管穿孔モデル(CLP)や大腸菌の腹膜内投与による死亡を予防したことを明らかにする。in vivoでLPCを投与すると、腹膜内細菌のクリアランスが著しく上昇し、CLPによって誘発された好中球の不活性化が阻害された。in vitroでは、LPCは好中球の殺菌活性を上昇させたが、これは大腸菌を取り込んだ好中球のH2O2産生が増大したためである。一方、マクロファージの活性上昇はみられなかった。また、LPCの受容体であるG2Aに対する抗体の投与により、CLPによる死亡に対するLPCの保護効果が妨げられ、好中球に対するLPCの影響も阻害された。G2Aに特異的な抗体はまた、致死作用や好中球からの腫瘍壊死因子α(TNF-α)放出などのリポ多糖類(LPS)の作用の一部に対するLPCの阻害作用を阻止した。このような結果は、LPCが敗血症や細菌感染を効果的に予防・治療し得ることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る