Research Highlights PEG化インターフェロンαはマカクザルにおいて1型肺胞細胞をSARSコロナウイルス感染から防御する 2004年3月1日 Nature Medicine 10, 3 doi: 10.1038/nm1001 重症急性呼吸器症候群(SARS)の主な原因は、新たに発見されたコロナウイルスである。SARSコロナウイルス(SCV)の複製は主に下気道内で起こり、広汎な肺胞障害を引き起こす。SARSの病原性発現機構の理解なくしては、本疾患に対する治療法の合理的な開発は困難である。本論文では、実験的に感染させたカニクイザル(Macaca fascicularis)の1型肺胞細胞には、感染後4日目にSCV抗原が強く発現していることを明らかにした。これは、この細胞が発病初期におけるSCV感染の主要な標的であることを示し、引きつづく肺の障害を説明するものである。我々はまた、SCV感染マカクザルに対する抗ウイルス剤PEG化インターフェロンα(IFN-α)を用いた予防的処置が、無処置のサルと比較して、ウイルス複製と排泄、1型肺胞細胞でのウイルス抗原の発現および肺障害を有意に減少させることを示した。一方、ウイルス暴露後における PEG化IFN-α治療では効果は中程度であった。以上より、PEG化IFN-αは1型肺胞細胞をSCV感染から防御し、SARS治療薬の候補として考えるべきであると提言する。 Full text PDF 目次へ戻る