Research Highlights

AML-1は成体造血において巨核球の成熟とリンパ球の分化に必要であるが、造血幹細胞の維持には必要ではない

Nature Medicine 10, 3 doi: 10.1038/nm997

胎児期における多系統の造血の発生には、系統特異的な転写因子の正確に制御された発現が必須である。そうした転写因子の1つとしてあげられるのがAML-1で、これはRunx1遺伝子にコードされ、CBFA-2またはPEBP-2αBとも呼ばれている。in vitroでの実験や、白血病や骨髄異形成症候群、および急性骨髄性白血病(AML)の素因となる家族性血小板減少症などの疾患から得られる知見より、AML-1は成体の造血に対してきわめて重要な役割を果たしていると予測されている。しかし、Runx1ノックアウトマウスは胎生致死となるため、この役割はin vivoにおいては十分に解明されてはいない。本論文で我々は、誘導的遺伝子ターゲティングの手法を用いて、成体の造血におけるAML-1/Runx1の必要性を評価している。AML-1を欠失しても、造血前駆細胞は完全に維持され、骨髄球系細胞は正常に分化する。しかし、AML-1を欠失する骨髄では、巨核球の成熟が阻害され、造血前駆細胞が増加し、TおよびBリンパ球の分化が不完全となる。したがって、AML-1は巨核球の成熟やTおよびBリンパ球の分化には必要であるが、成体の造血における造血幹細胞の維持には必要ではない。

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