Technical Report 単離した小腸分節を使うことで補助的肝臓の肝機能が維持される 2004年7月1日 Nature Medicine 10, 7 doi: 10.1038/nm1057 我々は今回、小腸から成形したコンテナ内に封入した補助的肝臓が十分に機能を果たせることができることを確証した。ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)欠損ラットから採取した肝臓細片を、粘膜除去したが血管供給は損なわれていない単離した小腸分節に入れて、同系の正常ラットに移植した。移植した肝臓細片は再建されて、正常な肝臓構造を備えた融合組織となり、血管新生と血管再生を示すDPP4陽性の血管を発達させた。補助的肝臓ユニットは各種の肝臓成長にかかわる遺伝子や血管新生遺伝子を発現し、研究中、移植組織は完全なまま6週間まで持続し、虚血性損傷も大きな肝細胞増殖もなかった。補助的肝臓では肝臓の代謝機能、輸送機能、生合成機能が保たれ、F344ラット由来の肝臓を移植された同系ラットで99mTc-メブロフェニンの取り込みと胆汁排出があったばかりか、同種移植をした長瀬系無アルブミン血症ラットではアルブミン分泌がみられた。血管のある小腸分節を使って機能的に十分な補助的肝臓を作り出せるこの手法は、肝臓の諸疾患や遺伝子欠損症の治療に役立つ可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る