Perspective

調節性T細胞と免疫系制御の機構

Nature Medicine 10, 8 doi: 10.1038/nm0804-801

免疫系は、外来性の、病原性を有する可能性のある微生物の攻撃から宿主を守るために進化してきた。免疫系は、そのような微生物を排除するという最終的な目的のために微生物が発現する抗原を認識し、かつその抗原を発現しているすべての細胞に対する免疫応答を開始することによって宿主を守っている。宿主に損傷をもたらしうる、自己抗原への反応性や病原体に対する過剰応答を阻止または最小にするように免疫系を制御し調節するための、さまざまな機構が報告されている。T細胞およびB細胞の分化における自己反応性細胞の消去によって、免疫系はほとんどの自己抗原に対して免疫寛容となっている。自己に対する末梢性免疫寛容は、末梢の自己反応性リンパ球にアネルギーが誘導された結果であることが数年前に示唆された。しかしさらに最近になって、宿主への損傷が、調節性T(Treg)細胞集団による能動的抑制によって回避されていることも明らかになった。本論文では、免疫系を抑制するためにTreg細胞が用いるさまざまな機構について論考する。

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